絆の森
かねやま絆の森 第13回活動「皆伐体験」 その3 製材過程見学
伐採現場を後にした私達は、次に金山町森林組合を訪問しました。先ほど見てきた玉切りされた丸太がその後どうなるのか、木の一生を追跡します。杉は50~60年ほどで、主伐(成木となり収穫する)時期を迎えます。場所によって主伐に適した時期は違い、日本の南の方は成長が早く40年ほどと短いよ うです。北の方はそれでも70年ほどまで育つようですが、我が金山町の杉はここからまた20年、長く上質な木を育てることができます。
金山には何度も足を運んでいますが、毎回、バスは森林組合の前をなんとなく通過していました。今までは、きれいに製材された木は私達にとって遠い存在だったのかもしれません。森林組合さんは参加者たちをあたたかく迎えてくれました。
敷地内には、見渡す限りたくさんの材木が乾燥されていました。木目がとってもきれいです。一口に材木と言っても、いろんな太さで大きさで、長いもの、薄いもの、様々な種類があるんだなと思いました。専門的なことは分かりませんが、でも一目見て、ここの杉はとても美しい良質な材だなと感じました。
一方で、この杉に関しては本来の価値をなえがしろにし、「安価なものを」優先させ樹齢15年から35年という短期間の「未成木」で製品化されている現状があるとも言われています。
市場に出回る安価で未成熟なものが「国産杉」として認知されてしまえば、ますます杉の価値が上がらなくなります。杉としての本当の価値を持ちはじめる適正な主伐時期を迎えた上質な杉とはほど遠い「国産杉」が私達の周りにあふれてしまうのは、とても悲しいです。
運ばれてきた丸太は固定され、レールの上に人が乗ったスライサーの方が前後に往復するたびに、少しずつスライスされ形が整っていき立派な製材となります。
数分で私達が見慣れた丸太の面影はなくなりました。
人間でいえば、「立派になったな」と言ってあげるところです。丈夫にまっすぐ育てと願い、人の手をたくさんかけてきた杉の木。このあと、どこに運ばれてどんな風に使われるのだろう。
ちょっぴり寂しいような、嬉しいような、複雑な気持ちになりました。まるで子供の新しい人生の始まりを見送る親のような気持ちでした。
一本の大きな丸太が数本の角材に生まれ変わりました。「よーく見てください」と、出来上がった材を皆の前に並べてもらい見比べてみます。よく見ると、太さも見た目も少しずつ違うのが分かりました。同じ一本の木からいろいろな種類の材が採れました。
森林組合さんは続けて「木は捨てるところも、無駄なところもない」という話をされました。
「例えば、節があるものは、見た目はイマイチかもしれないけどその分、強度がある。木の部分によってその良さを活かしてあげれば丈夫で長持ちさせることができる。皆さん、木の適性を知って上手に長く木を使って欲しい。そしてぜひ!金山杉で家を建ててください」
(人も同じだな)と共感した人も多かったかもしれません。話が終わると、自然に参加者の方から大きな拍手が送られました。
消費する。ということに関して、なんでも「安いに越したことはない。」と口から出てしまいそうですが、自分達が関わってきた森の関係者やこの金山杉を前にして「この木はもっと安くていい」とは、とてもではありませんがそんなこと言えませんし、認めることができません。
日頃から「安い」という価値感にあまりにもとらわれていないか、この杉の木を一例として身の回りにあるものの価値をもう一度考えてみたい。そう周囲の人達と話をしました。
昼食後は、杉のあらたな人生の始まり!みんなで全国育樹祭用のプランターを作ります(その4へ)
更新日: 2014年04月16日