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絆の森

かねやま絆の森 第14回活動「下刈り」 その4 おさかなプロジェクト実践

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全国育樹祭(森)と2年後に山形県で開催される全国豊かな海づくり大会(海)の記念事業として、一足先に森から海へつながる活動を実践しました。県の魚「サクラマス」が、私達の森づくりと地元の川をつないでくれました。こうした活動の輪がどうか広がりますように!力を合わせることは難しくない、勇気を出して集まる最初の一歩だけだよと、参加者のやり遂げた充実感、達成感に満ちた笑顔が教えてくれました。

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朴山分校をあとにして、いよいよ午後の活動現場に移動します。車で15分ほど北に移動し、漆野春木地区へ到着です。会場となった漆野・春木地区長よりご挨拶をいただきました。
回覧板で町内に告知をしてくださったおかげで地区の方が大勢、見学に来てくださいました。橋の上にまで、たくさんの地区の方がいるのが見えます。

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金山町森林組合長、そして森林所有者でもある岸会長は「5年前に一緒に森づくりを始めたが、今回は おさかなプロジェクトということで、まさか森からこうした川での活動にまで広がるとは思っていなかった」と、驚きつつも大変喜んでくださいました。

14-81.jpg地元の漁協さんがこの周辺にいる魚の話をしてくれ、参加者も喜びましたが、一番嬉しそうだったのは漁協の皆さんでした。いろんな組織の方と活動すると、こうした相乗効果が起こります。どの参加者も、自分たちのことを知ってもらい、誰かに「ありがとう」「いいね」と言われることが喜びとなり、自信につながっていきます。一番大切なことだと感じます。どの組織の参加者にも、森づくりは「作業」をしに行くだけではない、CSR活動として「ステークホルダとかかわりを持つ」事が大事だとしっかり話しています。


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美しい山形・最上川フォーラムでは、誰でも参加できる身近な川や水路、沼など水辺の環境調査を毎年、県内各地で一斉に行っています。毎年約1千名規模での活動を継続されていることは本当に素晴らしい事業だと頭が下がります。今年は私達「かねやま絆の森」を含め、県内から87団体が参加申込みをしました。この日の参加者が多かったため、最上川フォーラムさんに相談したところサポートの方をたくさんつけて指導してくださいました。

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調査は透視度計と簡易水質検査器材(パックテスト)を使って行います。パックテストはポリエチレンのチューブでできていて、中に試薬が入っています。川から汲んだ水をスポイトのように吸い込ませます。時間がたつと試薬が溶け、水の色が変化してくるので標準色と比べてその濃度を判定するというものです。

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こちらは水素イオン濃度(pH)調査です。黄緑色のpH7が中性で、オレンジ色になるほど数値が小さい酸性が強く、青色になるほど数値が大きくなるアルカリ性が強い水ということを示します。川のpHは通常6~8程度で中性であることが望まれますが、皆さんの結果は・・ここ春木川は理想的な中性で問題ないようでした。他にも、科学肥料が流れ出て汚染されていないか(リン酸体リン調査)、藻やプランクトンの異常発生はないか(硝酸性窒素調査)、生活排水や畜産排水で汚染されていないか(アンモニア性窒素調査)など全部で5項目の検査をしました。


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こちらは、水の透明度を測る調査です。容器の中に川から汲んだ水を入れ、上からのぞきながら下に付いている栓の水を抜いていき、底にある2重の十字線が見える位置の水の高さを測ります。水が濁っているほど透視度は小さくなります。漁協さんも地元の方も、長い間親しんでいる川ですが、こうした調査に参加するのは初めてだそうで、とても良い機会だったと言ってもらえました。

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この身近な水辺の健康診断のしくみの面白いところは、診断結果を調査箇所ごとに「クモの巣グラフ化・点数」に表し、立派な冊子にして一般に配布してくれます。それで、毎年同じ場所で調査を実施し、結果に変化があるかを楽しみに(昨年よりもっと川をきれいにしようという意識も当然上がります)参加するリピーターが多いのです。企業のボランティアや地域交流活動にも最適な活動ですが、実は企業の参加はまだまだ少ないようです。森づくり同様、かねやま絆の森では、この「川の健康診断」の和を広げていきたいです。

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最上漁業協同組合の参事が真剣に調査に取り組む参加者達の様子を見守っています。県や組合の方々との間に入り、準備を進めてくださったり、稚魚の調達に尽力してくださったキーマンのお一人です。また当日、庄内から稚魚を運んできてくました。今まで付き合いのな かったかねやま絆の森を信用し、力を貸してくれました。当日は元気良く泳ぐサクラマスの稚魚と、参事の姿を見て、いよいよ実現できた達成感で胸がいっぱいになりました。

14-94.jpg私達は、参加者が目的を理解し、使命感を持って活動することはとても大事なことと考えます。森では「なぜ、下刈り作業が必要なのか。なぜ、ヒトの手が必要なの か」、川では「なぜ、稚魚を放流するのか。なぜ、きれいな川でないといけないのか。」を森と川の関係者が分かりやすく明確に説明してくれたことで、参加者 が「なぜ今日ここに来たのか。何を求められているのか」心に火がつきます。繰り返していくと、参加者の「満足度」を参加者自身が上げていくようになります。

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健康診断の項目に「ゴミはあるか」の調査があるので、見つけたゴミを記録しながら最後に拾って診断終了です。自分達の手で調査をしたことで、稚魚放流が終わった後も中田春木川のことが気になり、調査結果の冊子がまとまってくるまでの楽しみな時間が続きます。

----アンケートより 森と海をつなぐ「おさかなプロジェクト」実践してみて---川の健康診断、稚魚放流の感想を教えてください。---
・稚魚放流と健康診断もした事が無かったので貴重な体験をしたなぁーと。 川もとても綺麗でその場所にいるだけで贅沢な気分でした。
・個人では経験できないであろう、稚魚放流は子供たちの記憶にきっと残ると思います。川の健康診断も学校での実験のように楽しめました。何気なく見ていた川ですが、今後は川の環境にも目を向けてみたいと思います。
・あまり馴染みのなかったサクラマスの生態も分かり、山形県の魚ということが今回の知識の収穫でした。

14-109.jpg川がきれいになったところで、いよいよ「サクラマス稚魚放流」です。
今回、用意していただいた貴重な稚魚は5~6センチで2gほど。昨年9月に孵化したそうです。今回の「おさかなプロジェクト」のシンボルであり、関係したすべての組織が託す未来への希望であり、異業種間の友好の証です。
放流されたあと、海に下ったサクラマスはイワシなどの小魚を主食にして50~60cmま で大きく成長し、次の年の春に故郷の川に戻り、秋に上流域の川底の砂利の場所で産卵します。

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<森、川、海のつながりについて> どんなことでつながりを実感できましたか?
・どれか一つだけが綺麗でも駄目だということ。
・森から流れる水が川となり海へつながり、その途中でお米や野菜、魚といった食べ物が育ちます。きれいな森を守ることは、私たち人間や他の生物の命の源を守るということかなと。
・森の保育作業に漁協と森林組合の方が参加いただいた、この活動が実現したことこそが「森、川、海のつながり」を実感できたことだと思います。


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子ども達の放流に続いて、森の人と川の人が仲良く一列に並んで稚魚を放します。魚でも水温に慣れるまで時間がかかるらしく、しばらくの間は参加者の元を離れません。名残惜しんでいるようにも見えます。今回の健康診断は、サクラマス講話で学んだ「どんな川だったらお魚が帰ってこられるか」イメージするのに大変良い体験でした。稚魚が戻ることだけでなく川の環境維持に対する関心が持続する気がしました。子ども達が、身近にある川を見て「この川はどのくらいきれいなんだろう」とか「ここには魚が帰ってくるかな」という会話をしてくれたら良いですね。

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クロージングで「森のがっこう朴山分校」を卒業する子ども達。校長先生(三英クラフトの星川社長)から、修了証とメダルが授与されました。また、クイズの賞品として内水面水産試験場様よりサクラマスバッジが子ども達全員に贈られました。子ども達の首に掛かけられたのは全国育樹祭のロゴマークをメダルしたものです。賞状のワンポイントにもマークを使いました。デザインの得意な山ゼロ参加者が、子ども達のために作ってくれました。

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つながるCSRについて。
どこかの組織だけが有益な活動というのは、継続できません。企業が地域に提供するのは「お金」や「モノ」という形だけにとらわれず 「機会」であってもいいのではないかと思います。 今回、私達かねやま絆の森で提供できたものは「機会」でありました。今回のような活動が続いていけば、森と川が物理的に整備されるだけでなく、人と人がつながれます。たとえば、その活動テーマは毎回変わったとしてもチカラは合わせられる様になります。
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---<森、川、海のつながりについて> どんなことでつながりを実感できましたか?---
・普段何気なく見過ごしている、環境(森、川、海)は、きちんと目を向ければ様々な発見があり、今後はもっと向き合っていきたいと強く感じました。何より自然の中は気持ちいい。
・森も川も年単位のサイクルで流れているので、つながりを実感するのにはもう少し時間がかかりそうです。
・森のある場所は川のかなり上流です。サクラマスが放流され海に下りまた上流へと溯上する。1匹の小さな魚でも森と海をつないでいるという実感がもてました。

---<人と人のつながりについて>異業種が力を合わせることは可能だと思いますか?また、力を合わせるために必要なことは何だと考えますか?------
・「繋がっている事」は知っていても、「それを思う・感じる」体験ができれば良いと思います。全ては、みんなの為に・・・。
・仕事や職場内だけでなく、まったく関係のないところで協力して成し遂げるといった機会や環境があればいいなと思います。まさしくこの、かねやま絆の森のような。
・同じ目的意識と共感と共有があれば可能
・異業種が力を合わせることは可能だと思いますし、不可能であったとしても可能にしていく努力が必要だと思います。力を合わせていくためには相手を尊重しながらも自分の状況をきちんと相手に伝えるコミュニケーション能力が必要だと思いますし、また、相手のために力を尽くし、相手から力を尽くしてもらったらそれに対する感謝の心、心と行動の交流が必要だと思います。

更新日: 2014年08月08日